恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
♢♢♢

 実家の門の前に到着した瞬間から、和香の身体は緊張で強張り、呼吸が浅くなっていくのが自分でも分かった。
 幼い頃から自分を縛り付けてきた屋敷の重苦しい佇まいに、冷や汗が背筋を伝う。
助手席のドアが開き、車から降り立った和香の肩を、帆高の手がふわりと優しく抱き寄せた。

「帆高君…?」
「緊張しないで。大丈夫ですから」
「あはは……ごめんね。やっぱり苦手なんだ、この家」

 自嘲気味に引き攣った笑みを浮かべた和香に、帆高はまるで壊れ物を扱うかのような繊細さで、けれど力強くその手を握り返してくれた。

「俺がいます。大丈夫ですよ」

 その一言に勇気をもらい、和香は頷いた。
真っ直ぐに前を見据え、二人は足並みを揃えて歩み出す。
 重厚な玄関を潜り、案内された応接間へ足を踏み入れると、そこにはすでに両親と神楽坂の三人が揃い、和やかに談笑していた。
 テーブルには上質な紅茶が運ばれ、まるで和香たちの敗北を確信しているかのような余裕を感じた。
 和香と帆高の姿を視界に収めると、両親は示し合わせたように、わざとらしく大きな溜息を吐き捨てた。

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