恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】

「今日は僕たちのためにお時間いただき、ありがとうございます」
帆高が深く頭を下げる。

 今日の席は、和香たちから話したいことがあると言って設けてもらったものだった。二人は並んでソファーに腰を下ろすと、和香は逃げずにまっすぐ両親を見据えた。

「お父さん、お母さん……分かっていると思うけれど、私は神楽坂さんとは結婚しません」
「それをわざわざ言いに来たのか?海の居場所は分かっているんだろう、早く言いなさい!そして、今すぐ会社を辞めて家に戻り、神楽坂くんと結婚しなさい。それが今まで育ててやった親への恩返しだろう!」

 父親は吐き捨てるように怒鳴り散らす。
和香が膝の上で悔しそうに拳を握りしめた瞬間、隣の帆高が静かに、けれど揺るぎない声で口を開いた。

「俺は、和香さんと結婚したいと思っています。今日はそのお許しをいただきたく、ご挨拶に伺いました」
「だから……っ!認めるわけがないだろう!…はぁ、なぜこうも出来の悪い娘ばかりに育ったんだ」

 父親の言葉に、和香の胸がちくりと痛む。

――それは、そうかもしれない

 親の望むような優等生の人生なんて生きてこなかった。むしろ、期待とは正反対の道ばかりを歩んできたのかもしれない、そう思って視線を落としそうになった、その時だった。

「出来の悪い娘などではありません。真逆です。あなた方は一体、和香さんの何を見てきたんですか?」
冷徹で鋭い帆高の眼光が、威圧的に両親を射抜く。

「和香さんは、自分の人生を自分の力で切り開いてきた、とても誇り高く素晴らしい人です。……自分の娘の生き方くらい、温かく見守ってやろうとは思えないのですか?」
「……帆高君」
「外野にそんなことを言われる筋合いはない。そもそも、娘の婚約者は神楽坂くんだ」

 激昂する父親に対し、帆高は一切怯むことなく、淡々と、けれど熱い情熱を込めて言葉を重ねた。
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