恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
 帆高としては、本来なら自らの立場や肩書などを使って結婚を認めてもらいたくはなかった。
しかし、和香の両親はどうしたって「肩書」や「自分たちの会社の利益」になることしか頭にない人間だ。
 真っ直ぐな誠意が届かない相手ならば、彼らが最も重んじる「利害」で叩きのめすしかない。

「ど、どういうことだ……っ」

 狼狽える父親に、和香は怯えることなくまっすぐに視線を返した。

「言葉通りの意味だよ。帆高君は自分の素性を隠して東和商事で働いていたの。周囲の社員はもちろん、直属の上司だって知らなかった。一部の役員しか知らない極秘情報だったのよ。帆高君は、会長の息子だと知られた状態での評価を嫌って、自分の実力だけで周囲に認められたいと考えていたの」
「な……そ、そんなバカな、」
「僕は政略結婚なんてするつもりはありません」

 呆然とする父親を遮るように、帆高が冷徹な声で切り出した。

「ですが……あなた方がどうしても損得でしか物事を考えられないのであれば…俺と和香さんが結婚する方が遥かに大きなメリットがある。東和商事の資本とグローバルネットワークを使えば、水瀬製薬の新薬や医療プラットフォームは世界市場へ展開できます。神楽坂グループと組む程度の規模とは比べ物にならないはずです」
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