恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
 お手伝いさんとともに様子を見に玄関先へ向かった紗枝だったが、しばらくしてリビングルームへ戻ってくると、どこか困惑したような表情を浮かべていた。

「菜子ちゃんが来ているんだけど……どうしましょう?」
「菜子さんが?」

 正樹さんと紗枝さんが顔を見合わせ、どう対応すべきか少し迷っている様子を見せる。
部屋の空気がわずかに変化したのを感じ取り、和香は隣に座る帆高へそっと耳打ちした。

「……菜子さんって?」
「俺が久東家に引き取られてから仲良くしていた、幼馴染のような人です。親同士の仲が良くて、昔はよくうちに遊びに来ていました」
「そう、だったんだ。だったら、上がってもらったらどうかな?せっかく来てくれたんだし」

 和香がそう提案すると、帆高はどこか気を揉むように首を傾げたが、断るのも角が立つということで、応接室へ上がってもらうことになった。
 和香としては、これまで帆高がお世話になってきた大切な幼馴染なのだから、きちんと挨拶くらいはしておきたいという気持ちがあった。

…ただ、自分にはない「昔からの絆」や「幼馴染」という特別なステータスに、羨ましさと、胸の奥がキュッと締め付けられるようなほんの少しの嫉妬が混ざり合っていた。
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