恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
 しばらくすると、ののかは何事もなかったかのような涼しい顔で自分のデスクへと戻ってきた。

 そこに帆高の姿はなかった。
必死に意識しないように平静を装っていた和香だったが、ののかは申し訳なさそうな表情を作って声をかけてきた。

「和香さん、すみません!打ち合わせの会議室の番号、私間違えて取っちゃってて……」
「……え?」
「せっかく向かっていただいたのに、入れなかったですよね?本当すみません〜」

 丁寧でしらじらしいその言葉に和香は言葉を失う。
なぜ彼女があの場所に帆高と一緒にいたのか。
なぜ、二人はキスをしていたのか……。
分からないことばかりで、胸が締め付けられるように苦しくなっていく。

「……ううん、大丈夫。じゃあ、これから会議室を取り直すね」
「いいえ、やっぱり大丈夫です!さっき帆高さんに資料見てもらったので」
「あー……、そう、なんだ」

 平然を装い、声のトーンも変えないように答えたはずだった。けれど、自分でも分かるほど声の語尾が微かに震えていた。
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