恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「さっき上司から言われたんですけど…例の欧州オーガニックコスメブランドの独占販売権コンペ、私と帆高さんのペアで担当することになりまして」
「……俺と、君で?」
「はい! 女性向けの事業だから新人の私の感性も入れたいって上司に相談したら、帆高さんと一緒なら絶対受注できるからって、私の提案が通っちゃいました!役員直轄の超重要案件だから、今夜からさっそく二人で詰めていかなきゃいけないんですよね」

 ちらりと和香に向けられたののかの視線には、隠しきれない優越感が滲んでいた。 これはののかが裏で上司に働きかけて仕組んだペアリングなのだろうか。それとも偶然…?

(……新規ブランドのコンペなんて……今日から二人でずっと残業……?)

 目の前で帆高にべったりと甘えるののかの姿に、和香の胸の奥でドロリとしたモヤモヤが広がっていく。
帆高はあからさまにののかの手を不快そうに解こうとしていたが、業務命令である以上、無碍にはできない。

「帆高さん、この後、資料室で打ち合わせしましょう?今日も遅くまで帰れそうにないなぁ」

 そう言って満足そうに帆高の腕をひくののかにたまらず視線を落とした和香だったが、すれ違いざま、帆高が素早い動作で和香の手を強く握った。

「あとで、渡したいものがあるので」
「…渡したい、もの?」
「はい、じゃあまた、」

 そう言って会議室を出ていく二人の背中を見送りながら、ぎりぎりと痛む胸をどうにかできないものかと考えた。今年で三十だというのに、これが嫉妬だとすれば…―、こんなことで心をかき乱されるなんて。
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