恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
―…―
…

8時過ぎになり、和香が一人で帰宅しようと荷物をまとめていると、帆高が真っ直ぐに近づいてきた。

 周囲の目を気にする間もなく、彼の大きな手が和香の手を包み込む。
握らされたのは、ひんやりとした金属の感触…彼のマンションの合鍵だった。

「先に帰って、俺の部屋で待っていてください。必ずすぐ帰りますから」

 ののかに聞こえるかもしれない位置だというのに、一切の躊躇もない、堂々とした口調で囁く。
 言いたいことだけを言い残すと、帆高はすぐに残業のために会議室へと戻っていこうとした。その隣には、当然のようにぴったりと寄り添うののかの姿がある。

 ののかがチラリと振り返り、和香に視線を送ってきた。
その瞳は、どこかあざ笑うかのように歪んでいた。
 掌の中に残る鍵の冷たい重みと、そこに残る彼の名残のような体温に胸を痛めながら、和香は離れていく二人の背中をただ見送ることしかできなかった。


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