恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「……和香さん」
低く掠れた声で名前を呼ばれ、和香はハッと息を呑んで上半身を起こした。
目の前には、薄暗いリビングの中で息を切らせた帆高の顔があった。
スーツ姿の彼はネクタイを少しだけ緩め、急いで走って帰ってきたのか、胸を大きく上下させている。
「……ごめんね、私……寝ちゃってたみたい」
「いいえ。すみません、帰りが遅くなって」
「ううん……いいの。えっと……」
重い瞼をこすりながら、寝起きの頭で懸命に思考を巡らせようとする。けれど、どうしても胸の奥で重く渦巻いて離れないのは…―ののかのことだった。
(彼女とは、本当は何もなかったの……?)
(あの昼間の会議室でのキスは、一体なんだったの……?)
喉まで出かかった問いかけを、和香は直前で必死に呑み込んだ。
もし今それを尋ねて、帆高が何かを隠すような素振りを少しでも見せたら…―きっと自分は、もう二度と彼の隣にはいられなくなってしまうから。
そんな和香の迷いを汲み取る間もなく、帆高が冷たい光を宿した瞳で真っ直ぐに見下ろしてきた。
「昨日の夜、神楽坂と会ってたんですよね」
「……うん、そうだよ」
「何故ですか。アイツに、何か言われましたか?」
「……」
言い淀む和香に対し、帆高の瞳に隠しきれない焦燥感と苛立ちがドロリと滲み出る。
「……俺に言えないことですか」
「そんなんじゃないよ。ただ、一緒に食事をしただけだよ。やましいことなんて、本当に何もない」
「……信じます」
そう短く告げた直後、帆高は覆いかぶさるように、和香の身体を深く抱きすくめてきた。
低く掠れた声で名前を呼ばれ、和香はハッと息を呑んで上半身を起こした。
目の前には、薄暗いリビングの中で息を切らせた帆高の顔があった。
スーツ姿の彼はネクタイを少しだけ緩め、急いで走って帰ってきたのか、胸を大きく上下させている。
「……ごめんね、私……寝ちゃってたみたい」
「いいえ。すみません、帰りが遅くなって」
「ううん……いいの。えっと……」
重い瞼をこすりながら、寝起きの頭で懸命に思考を巡らせようとする。けれど、どうしても胸の奥で重く渦巻いて離れないのは…―ののかのことだった。
(彼女とは、本当は何もなかったの……?)
(あの昼間の会議室でのキスは、一体なんだったの……?)
喉まで出かかった問いかけを、和香は直前で必死に呑み込んだ。
もし今それを尋ねて、帆高が何かを隠すような素振りを少しでも見せたら…―きっと自分は、もう二度と彼の隣にはいられなくなってしまうから。
そんな和香の迷いを汲み取る間もなく、帆高が冷たい光を宿した瞳で真っ直ぐに見下ろしてきた。
「昨日の夜、神楽坂と会ってたんですよね」
「……うん、そうだよ」
「何故ですか。アイツに、何か言われましたか?」
「……」
言い淀む和香に対し、帆高の瞳に隠しきれない焦燥感と苛立ちがドロリと滲み出る。
「……俺に言えないことですか」
「そんなんじゃないよ。ただ、一緒に食事をしただけだよ。やましいことなんて、本当に何もない」
「……信じます」
そう短く告げた直後、帆高は覆いかぶさるように、和香の身体を深く抱きすくめてきた。