恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「あっ……!」

 そのままソファの背もたれへと押し倒され、瞬時に視界が反転する。
視界いっぱいに広がる天井と、すぐ頭上に迫る帆高の整った顔。
急激に詰められた距離感と彼の熱量に、和香の心拍数は一気に跳ね上がった。

「……帆、高くん……っ」
「信じてますよ。…でも、和香さんの可愛い顔を、俺以外の男に見せたのかと思うとどうしようもなく苛々するんです」
「……ちょ、っ……ん……!」

 言い含めるような低い声のまま、帆高が容赦なく唇を重ねてくる。
反抗するように胸元に手をやり、ぐっと彼を押しのけようとした。けれど、鍛えられた男の体躯はビクともしない。 圧倒的な体圧と骨格の差を見せつけられ、逃げ場のないまま密着した身体から、お互いの熱が伝線するように激しく絡み合っていく。
 息が詰まるほどの熱量に呑み込まれそうになった、その時だった。
一瞬、彼のスーツの胸元から掠めた香りに、和香の身体が石のように固まった。

「や……っ!」
「和香さん……?」

 必死で顔を背け、明確な拒絶を示した和香に、帆高が動きを止めて眉をひそめる。

「……なんで……」

 震える声で呟きながら、和香は涙で視界が歪むのを感じていた。
その香りは、あからさまな女物の甘い香水だった。
そして、それは嗅いだことのある匂いだった。

―橋川さんの、香水だ。
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