恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「和香さん……? どうしました?」

 涙で歪む視界のせいで、すぐ目の前にある帆高の輪郭すら徐々に滲んでいく。
ぽろりと溢れ落ちた一滴の涙がこめかみを伝い落ちると、帆高はどこか冷たくなっている指先で、壊れ物を扱うかのように優しくそれを拭い取った。

「和香さん……何か、ありましたか?」
「……橋川さんと、何かあるの?見ちゃったんだよ。二人がキスしてるの」
「……」
「それに……今日だって、彼女の香水の香りがする」

 和香の絞り出すような吐露を聞いた帆高は、小さく一呼吸置くと、そのまま和香の肩口に自分の額を預けて深く脱力した。

「……ごめん。やっぱり、見られてたんですね」

 その言葉を聞いた瞬間、和香の心臓がドクンと激しく跳ね上がった。
(やっぱり……本当だったんだ……)
 ののかの方が若いし、可愛い。自分なんかより、彼女を選んだ方がいいに決まっている…普段の自分なら考えもしないようなネガティブな思考のループが、胸の中で渦を巻いていく。
 けれど、帆高は「すみません」と低く掠れた声で呟くと、静かに言葉を続けた。
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