双恋〜大好き、でも譲れない!〜
名前を知れただけで、跳ね上がる心臓。

さっき私の自己紹介の時、ほんの一瞬だけ鳳くんが振り返って、私を見た気がした。

気のせいかもしれない。でも、あのクールな瞳と目が合った瞬間、頭が真っ白になるくらいドキドキしてしまったのだ。

(かっこいい……ううん、かっこいいだけじゃない。ぶっきらぼうだけど、すっごく優しい人……)

運動神経だけが取り柄の私だけど、直感には自信がある。

あの掲示板の前で、ちづちゃんと私を庇ってくれた時の、大きくて温かい手。

あの瞬間に落ちた恋の音は、今も耳から離れてくれない。

(絶対……お礼言いに行かなきゃ)

キーーンーコーーンーカーーンーコーーーン。

4限目のオリエンテーションが終わるチャイムが鳴り響いた。

昼休みに入った瞬間、教室が一気に賑やかになる。

「ちづちゃん、お昼どーする?」

「あ、購買でパン買ってこようかな!」

「じゃあ一緒に行こ……って、あ!」

ちづちゃんが返事をするのと同時に、最前列の鳳くんがスッと席を立った。

一人でポケットに手を突っ込み、教室の扉へと向かって歩いていく。

(今だ……!)

私はお弁当袋を手に取ると、一気に立ち上がった。

「ちづちゃん、ごめん! 先に購買行ってて! 私、ちょっと用事思い出した!」

「えっ!? まっちゃん……!?」

驚くちづちゃんを置いて、私は鳳くんの後を追って教室を飛び出した。
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