双恋〜大好き、でも譲れない!〜
「おーい! 鳳くーん!」

渡り廊下の手前で、私は大きな声を張り上げて走った。

人混みの中でピクッと肩を揺らし、立ち止まる背中。

追いついた勢いのまま、私は鳳くんの目の前にバッと立ちふさがった。

「はぁ……はぁ……! よかった、追いついた……!」

「……あんた、さっきの」

鳳くんは少し驚いたように目を丸くしたあと、すぐに不機嫌そうな顔に戻った。

至近距離で見下ろされると、背が高くてやっぱりめちゃくちゃカッコいい。

鼓動がうるさすぎるくらいに跳ね上がる。

(ちゃんと言わなきゃ!)

私は胸の前でぎゅっと手を握りしめ、まっすぐ彼の目を見つめた。

「さっき掲示板のところで助けてくれて、本当にありがとう! 鳳くんが庇ってくれなかったら、私もちづちゃんも怪我してたかもで……お礼が言いたかったの!」

息を整えながら一気に捲し立てると、鳳くんは片手をポケット突っ込んだまま、面倒くさそうに息を吐いた。

「……別に。勝手にぶつかってきそうだったから止めただけ」

「それでもだよ! 鳳くん、あの時手痛そうだったし……怪我、大丈夫?」

心配になって顔を覗き込むと、鳳くんは気まずそうにほんのり耳の裏を赤くして、そっぽを向いた。

(……えっ、照れてる……!?)
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