双恋〜大好き、でも譲れない!〜

小さな胸のトゲ

「まっちゃん……どこ行ったんだろ……」

お昼休みの廊下。

置き去りにされた私は、パンを買うのも忘れてまっちゃんの姿を探していた。

すると、渡り廊下の手前で、聞き覚えのある元気な声が聞こえてきた。

「おーい! 鳳くーん!」

人混みの向こう。

まっちゃんが駆け寄った先にいたのは——さっき一番前の席に座っていた、あの鳳くんだった。

(まっちゃん……鳳くんを追っかけてたんだ……)

影からこっそり覗き込むと、二人は至近距離で向き合っていた。

「さっき掲示板のところで助けてくれて、本当にありがとう!」

まっちゃんは少しも物怖じせず、まっすぐに鳳くんの目を見つめてお礼を言っている。

いつも周りを明るく照らして、思い立ったらすぐ行動できるお姉ちゃん。

自分とは正反対のまっちゃんの眩しさに、胸がキュッと締め付けられた。

鳳くんは面倒くさそうにそっぽを向いているけれど、よく見ると耳の裏がほんのり赤い気がする。

(鳳くん……照れてる……?)

あの冷たそうに見えた男の子が、まっちゃんの前で見せる思いがけない表情。

それを見た瞬間、胸の奥がチクチクと痛みだした。
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