春雷ブロッサム

Bloom.1.5



定時で仕事を終え、外に出ると春風に桜の花びらが舞っていた。
月明かりに照らされる桜並木は好きだ。

幻想的でライトアップされているかのように美しいから。

俺は通り過ぎていく同僚たちに「お疲れ様です!」と言われるたびに、会釈して応え、駅へと向かう。

駅に着き、改札を通ると、目の前に見覚えのある女性が列の最後尾に立っているのが見えた。

確かあの人は、総務部の冬柴さんだ。
鈴村部長の推薦で主任になったと聞いた。

(最近、離婚したんだっけ)

冬柴さんの元旦那は、営業部の藤川さんだ。
社内では、藤川さんの不倫が原因で離婚したと噂されている。

実際に冬柴さんと離婚前から、藤川さんが派遣社員の古川さんと一緒に居るところを何度も見たことはあった。
それがどのような関係だったのかまでは知らない。

けれど、社内調査で藤川さんと古川さんについて上司から質問をされた際には、「よく一緒にいるところを見掛けていました」とは答えた。

そのせいなのかは分からないが、その後に二人はそれぞれ処分を下され、今は本社から姿を消している。

俺は冬柴さんの隣の列に並んだが、彼女は全く俺に気付いていないようだ。

何だかボーッとしていて、会社で見掛ける時とは雰囲気が違って見える。
会社では、無理に元気を装っているのだろうか。

"離婚をするのは大変"とよく聞くが、やはりそういうものなのか。
離婚はおろか結婚すらしたこともない俺には、別次元の話に聞こえてしまうが···―――
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