俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない
律は低く命じ、スタッフたちを引き上げさせた。

​残されたPTも雰囲気を察し、気を利かせ、席を外した。

​数秒間、2人きりの静寂が廊下の隅に流れた。

​律は葵との距離を半歩だけ詰め、他の誰にも聞こえない低く滑らかな声でささやいた。

​「……『律先生』か」

「え……?」

「ここではそう呼ぶしかないのは分かっている。……だが、他人行儀な呼び方をされるたび、胸の奥が不機嫌に逆立つ」

​律は背筋を伸ばした美しい佇まいのまま、葵の瞳をじっと見つめた。

​「……焦らず、だが確実にリハビリを進めろ、葵。俺をただの『主治医』として扱わなければいけないこの場所から、一刻も早く連れ出したい」

​「律……先生……」

​周囲からは冷徹な神の手と恐れられる律が、葵の前だけで見せる密やかな独占欲と激甘な本音。

葵は頬を真っ赤に染めながら、誇らしく律の佇まいを見上げた——。
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