想定外につき、対処不要
 部屋に入ると、リビングは白を基調とした家具で揃えられ、広さは俺の部屋と変わらなかった。でも、女性らしさがあって、優しげな空気に包まれていた。

 軽く息を漏らしたところで、彼女が声を掛けてきた。

「気持ち悪いから、シャワー浴びてくるね……」

「大丈夫、ですか?」俺は思わず尋ねたが、彼女は軽く頷いて、部屋を後にした。

 風邪かと思ったが、ストレスがあるのかもしれない、と考えた。あの監督は彼女に対して優しくはあるが、反面厳しい所も見受けられる。

 彼女は何より、周りのことを見ているようだし、気に病んでいてもおかしくはない。
1日だけでも休日を入れるか、と思い、その場に腰を下ろして、正座をした。

 直ぐに鞄から手帳を取り出し、スケジュールの確認に取り掛かり、どこかに組み込めないかと凝視していた時だった。

膝周りに何かが纏わりつき、視線を向けると、目の前に犬が座って、こちらを見ていた。そこから視線を脇に移すと、猫が俺の周りを巡回するように、匂いを嗅いでいた。

 なんだ、これは……。

 そこで俺は手帳を閉じ、鞄の中に仕舞った。すると、犬が「待ってました」と言うように、姿勢を正して、こちらを見てきた。

 俺は何をすれば良いのか理解できず、辺りを見回すと、膝先の近くにボールが置かれていた。

 これを……投げれば、いいのか……?

 手にしてみると、犬が途端に目の色を変えて、尻尾を振り出した。
俺は戸惑いながら、軽くボールを投げると、犬は一目散に追いかけて、口にくわえ、直ぐに膝先にボールを置いた。

 まさか、回数が決まってるのか?

 そう思いながらも、ボールを投げてみると、犬は同じ行動をしてきた。
その間、猫は俺の周りを熱心に巡回していて、長い尻尾を所々に擦り寄せていた。

 俺の足元には毛が付いていたが、巡回を終えた猫が太もも辺りに鎮座していた。
思わず手を掛けると、少し尻尾を振ったが、大人しく撫でさせてくれた。とても柔らかい毛で、よく見ると、綺麗に手入れされているようだった。

 犬はボール遊びに飽きたようで、俺の膝先で背中を向けて、丸まって休んでいた。その毛艶も良くて、どちらも大事にされてる様子が見て取れた。

 俺はそのままの状態で、目に入る光景に、どこか温かい気持ちになった。

 いつまでこうして居るのか分からないけど、見ているだけで自然と笑みが零れていた。
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