加納欄の空白シリーズ35シーズン4
「妙なことって、どんなことですか?」

あたしが尋ねると、美咲さんは俯いた。

「兄が、最近やたらと忙しいって言うんです」

「お仕事がですか?」

「それが、仕事じゃないみたいで……」

大山先輩が身を乗り出した。

「どういうことでしょう?」

「予定がない日でも、時間がないって言うんです」

「予定がないのに、ですかぁ?」

美咲さんは小さく頷いた。

「先週も食事に誘ったんです。でも、空いてないって」

高遠先輩が手帳に書き留める。

「お兄さんに交際相手はいらっしゃいましたか?」

「いえ、そういう話は聞いたことがありません」

「なるほどな……」

大山先輩は腕を組み、考え込んだ。

何がなるほどなんですか?大山先輩。
あたし、まだなるほどまで、推理できてません!

あたしは美咲さんの顔を覗き込んだ。

「お兄さん、何か隠し事してたんですかねぇ?」

「……分かりません。でも、最近よく笑ってました」

その言葉に、あたしは少しだけ首を傾げた。
< 6 / 40 >

この作品をシェア

pagetop