ENFJホストは、30歳INFJフリーターの初恋でした。
「……なるほど」
面接開始から、15分。
蓮は履歴書を見ながら、何度も由夏を見る。
「広報経験あり」
「はい」
「マネジメント経験あり」
「ございます」
「接客経験」
「ございます」
「事務処理」
「問題ありません」
「英語」
「話せます」
「他の言語は?」
「日常会話程度でしたら、複数」
「……」
蓮の眉が上がる。
「車」
「運転できます」
「料理」
「できます」
「健康管理」
「栄養面からでしたら」
「……」
蓮は履歴書に視線を落とした。
資格欄が、とんでもないことになっている。
「これ……全部?」
「はい」
「国家資格も?」
「はい」
「なんで?」
由夏は少し考えてから答えた。
「必要だったので」
「いや、必要やったからって取れる量ちゃうやろ」
思わず蓮がツッコむ。
その瞬間。
由夏の口元が、ほんの少しだけ緩んだ。
「……よく言われます」
「ですよね?」
蓮は笑った。
面接を始めてから初めて見えた、由夏の素の表情。
ほんの一瞬だった。
けれど蓮は、それが妙に印象に残った。
「霞心さん」
「はい」
「採用」
「……はい?」
あまりにも早かった。
「明日から来てほしい」
「……」
由夏は瞬きをする。
「よろしいんですか?」
「むしろ、こっちがお願いします」
蓮は即答した。
「こんな人、探してもおらんかったから」
その言葉に、由夏は少しだけ目を伏せた。
「ありがとうございます」
穏やかに笑う。
それだけ。
蓮は知らない。
その笑顔の奥で。
__高校時代からずっと好きだった人に、採用された。
そんな現実に、由夏の心が追いついていないことを。