ENFJホストは、30歳INFJフリーターの初恋でした。




帰りの新幹線の中で。



由夏は流れていく夜景を眺めながら、面接での出来事を思い返していた。



__『採用』


__『むしろ、こっちがお願いします』


__『っしゃ』



「……」



私、今度はここで働くんだ。



今回は、短期でも単発でもない。



試用期間が終われば。



何も起こらない限り、ずっと同じ場所に居る事になる。





__何も、起こらない、限り。





長期のアルバイトと聞いた時。



あまりにも久しぶりに。



同じ場所に居続けるという怖さに。



正直、帰ろうかと思った。



だけど、ここで帰ったら。



話を断ったら。



親友の顔をつぶす事になってしまうかもしれない。



だから、最後まで受けた。



そして、働くことを決めた。



「……今度は、上手くいくかな」



脳裏に浮かぶ過去の記憶。



社会人になってからの記憶。



もしここで。



また同じことが起こったら。



__『これからよろしくな、由夏』



「……先輩」 



大好きな人と時間も。



永遠に失ってしまう。



だけど。



「……変わりたい」



心の内で、ずっと抱えていた思い。



もしかしたら。



神様がチャンスをくれたのかもしれない。



このままずっと。



傷を抱えて。



自分に自信が持てないまま。



死んでいくなんて__



「……」



今日はもう。



余計な事を考えるのはやめよう。



窓のカーテンをそっと下ろして。



由夏は静かに目を閉じた。



< 5 / 10 >

この作品をシェア

pagetop