ENFJホストは、30歳INFJフリーターの初恋でした。
由夏が店で働き始めて、1週間。
「……由夏ちゃん、怖いくらい仕事できるんやけど」
女性先輩マネージャーの黄音愛莉(きのん・あいり)が呟いた。
「うん」
隣で蓮の付き人の男性、傘白湊(かさしろ・みなと)も静かに頷く。
「代表の予定、全部覚えてるよね?」
「覚えてるね」
「昨日なんて、会食の時間変更を3時間前に察知してたよ?」
「……本人より把握してるんちゃうかな」
「それな」
2人の視線の先では。
「代表、本日の会食ですが、先方から開始時間を30分前倒ししたいとの連絡がございました」
「え、そうなん?」
「はい。そのため、次の移動時間を__」
由夏が淡々と説明していく。
蓮は最初こそ驚いていたものの、今ではすっかり頼り切っている。
「由夏」
「はい」
「俺、次どこ?」
「17時から同伴、その後21時半に会食です。会食後、1度店へ戻ってから__」
「完璧」
「ありがとうございます」
「いや、こっちがありがとうやって」
蓮が笑う。
由夏も穏やかに笑う。
その2人を見て。
愛莉は、じっと蓮の顔を見た。
「……ねぇ、湊」
「うん」
「代表、由夏ちゃんのこと好きちゃう?」
「……」
湊は少しだけ目を細めた。
「早ない?」
「いや、分かるって」
「そうかな」
「だって、あの顔」
愛莉が指差す。
蓮は由夏が説明している内容を聞きながら、明らかに機嫌がいい。
「……確かに」
湊も小さく頷いた。