奇怪な天才は、私の不運をゼロにする。
「あぁ~、ここ、怖いんだよなぁ、暗いし。……オバケ出そうだし」
放課後。
私は自分の中にある恐怖を誤魔化すため、わざと独り言を口にしながら、棚の資料を引っ張り出していた。
そんなとき。
ガタン……、ガサガサ…。
静まり返った資料室に、音が響く。
ここにいるのは、私ひとりだけのはずなのに。
私は恐る恐る音のしたほうへ足を動かす。
光の届きにくい、薄暗い場所。
そこにいたのは……。
「つっ、月島君!?……なんでここにいるのよ!」
オバケではなかったという安堵。
だけどそれ以上に、月島君と2人きりになってしまったという、逃げ場のない緊張感。
「僕はここに隠れてタルトを食べているんですよ。人目があると気になりますので」
……よく言う。
始業式の日、教室で堂々とマカロンを食べていたのは、どこの誰だろう。
「…なんでいつも甘いもの食べてるの?」
「糖分が足りなくなると、予測能力が落ちて、柚葉さんを守れなくなるからです」
またそうやってさらりと私を揺さぶるようなことを言う。