奇怪な天才は、私の不運をゼロにする。
「何をしている。ここは飲食禁止だ」
声がしたほうを見ると、そこには生徒会長の氷室君がいた。
そして彼はゆっくりと月島君へ視線をうつす。
「それに……、部外者は立ち入り禁止だ」
いつもの穏やかな氷室君からは想像もできないほどの冷たい声が、月島君へ向けられる。
『氷室と月島は学年トップを争うライバル同士だから、仲が悪いらしい』
以前、どこかで聞いたことのある噂話が、頭をよぎった。
あの話は、本当だったのかもしれない。
「出ていってくれ、月島」
「ハイハイ。……それでは柚葉さん、また明日」
えっ、この状況で私はここに残らなきゃいけないの…!?
私のそんな想いも虚しく、月島君はあっさりと資料室を出ていってしまった。