氷の外科医
「ハァハァ……、ひろ、…と……?」



マスク越しに聞こえた小さく弱々しい声。


間違いなく聞き馴染みのあるその声が、裕人の瞳を大きく揺らし、顔色をさっと蒼白に変えていく。




なぜだ——


今日彼女は友達とショッピングに出かけたはず——




状況が瞬時に頭の中で繋がり、胸が潰れるような衝撃が走る。



朝あんなに嬉しそうに話していた愛する彼女が、今まさに自分の目の前で苦しんでいた。


信じられない、信じたくない気持ちが心の中でむくむくと大きくなっていく。


職場で初めて経験するパニックが、もうすぐそこまで押し寄せていた。




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