冷遇令嬢ですが、前世の知識と先見の力で運命の王第殿下と新しい国を作ります。
マキシミリアンは馬車の扉の横に立ちジャスミンをエスコートして馬車に乗せた。

今も毎日鍛錬を欠かさないマキシミリアンは、背が高く体躯も引き締まり立ち姿も美しいと自負している。

社交界の人気を独り占めにしていると言われるが、社交界に出た事もないジャスミンにとっては何の意味もない。

自分の見た目や地位に興味のないように見えるジャスミンが恨めしい。

馬車に乗り込むと
「ありがとうございます。とても楽しみにしてきました」

と言ってくれたのは僥倖だった。

“楽しみにしてくれていたんだ”そう思うとつい口元がほころんでにやにやしそうになる。

その上ジャスミンの密やかに匂う香りに眩暈がしそうだ。

ジャスミンはジャスミン香りの香水を使っている。

ジャスミン自身の匂いが混ざり香りに色っぽさを感じてしまう。

「僕も楽しみだったよ。ジャスミンの服はいつもお洒落だね。自分でデザインするの?」

「はい、動きやすくて上品に見えておしゃれな物をと心がけています。それをうちの侍女が作ってくれるんです。シシリー様の結婚式の花馬車の御者の服も侍女が作ったんですよ。花馬車も人気だったんですが御者もとても人気だったんです」

「そうか、それはすごいな。侍女なのに洋服が作れるなんてびっくりしてしまうよ」

「ええ、彼女がいるので結婚式のドレスの店を始めたいと思っているのです」

「まだお店を増やすのか?ジャスミンの時間が無くなってしまうのでは?」

「うふふ、私は働いている時が一番楽しくて幸せなのです。夢はワーキングレデイですから…」

「それならもう叶っているじゃないか。それもとびっきり凄腕のワーキングレデイだ」

「まあ、ありがとうございます」

「ちょっとは僕と会う時間を作ってくれないかなあ」

と小さな声で呟いたマキシミリアンの声はジャスミンには届かなかった。
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