冷遇令嬢ですが、前世の知識と先見の力で運命の王第殿下と新しい国を作ります。
マキシミリアンがこの国に来てから二年が経とうとする頃、彼は一度ホランデリア王国に帰る事を考えていた。

ジャスミンにも故国に帰れるようにしてやりたかったし、国王にも謝らせたかった。

そして宰相に密かに会ったマキシミリアンは国王とも会ってジャスミンの事を認めるように直談判したのだ。

そうでなければ自分はこの国を捨てて今いる国に帰化する予定だと言って脅した。

そのお陰でジャスミンは家族と今では直接手紙を交換できるようになった。

カフェの事や雑貨店の事カレーライスの店の事も皆相談してくるようになったのだが、ジャスミンは一人で五人も六人も相手に手紙を交換することになり、育児中という事もあり一時期寝不足になるほどだった。

マキシミリアンは手紙はフレデイがまとめて送るようにと言ってくれた。

皆月に一度手紙を書いてそれをフレデイがまとめて送ってくるようになった。

リリーとサラには子供ができていた。

二人は子供達をジャスミンに会わせたがった。

デイジーとシリアスは領地に住み、領地の経営に意欲を燃やしているようだ。

ある時デイジーからシリアスのバレンシアン領は南北に長く北の方では夏でも気温が低く過ごしやすいのだが、農産物があまり育たなくて困っていると相談があった。

ジャスミンは畜産業を勧めた。

ヒツジやヤギは特に寒さには強い。

羊からはウールが取れるし食用肉にもなる。

羊毛からどのようにウールの糸にするのかは専門家を雇うしかない。

あるいは自分達でウールの糸が取れるようになるまで刈り取った羊毛だけ売ると言う手もある。

ヤギも乳も肉も食用にできるし乳からはチーズを作れる。

ヤギも羊も牛よりも飼育が簡単で手間がかからない。

そして農作物はジャガイモの栽培を勧めた。

ジャガイモは春植えと秋植えの一年に二回収穫をする事ができる。

ただ連作障害に気を付けなければいけないので、農家にはきちんと輪作の予定を立てさせなければならないとも忠告した。

昔フレデイと作った連作障害についての資料がどこかにあるはずだから、フレデイに聞くようにとも伝えた。

ジャガイモの食べ方はデイジーもよく知っている。

チップスにしたりマッシュしてサラダに使えるし、シチューやカレーライスには必需品だ。

ただ茹でてバターを垂らしただけでも美味しい。

シチューやチップスの作り方を領民に教えれば冬でも飢えることはないだろう。

飢饉の時にも役立つし冬の備蓄食料にもなる。

万能なのだ。そして栽培は難しくない。

ジャスミンはフレデイにはサラと協力してカレールーだけの販売もする事を勧めた。

その配合はサラが知っているしどこにも売っていない。

カレールーが売れれば米やジャガイモ、ニンジン、玉ねぎも売れる。

デイジーにも安く売ってやればバレンシアン領のジャガイモの栽培を後押しできるだろう。

沢山取れれば隣接する領地にジャガイモを売ればいいのだ。

レシピを付けてやれば万々歳だろうし、カレールーも安く仕入れて利益を乗せて売ればいいのだ。

それとリンゴの果樹園も勧めた。

リンゴは寒い所でも育つしその方が蜜入りの美味しいリンゴになるはずだ。

しかし実がなるまでには苗木を挿してから三年~五年かかるので、それを見越して果樹園を作る必要がある。

リンゴはジャムにしても良い、バレンシアンジャムとして瓶詰めにすればいいのだ。

農作物、果樹、そして畜産をバランスよく発展させれば互いを補う収穫を上げられるはずだ。

特産品を作るのは難しいのだが、リンゴは特産品になりうる。

どこどこ産のリンゴというのは前世でもよく聞いた。

そう言う事を踏まえて何からやっていくかシリアンと相談すると良いと手紙に書いてデイジーに送った。
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