ソルが降る日
「ミリさん、顔、固まってる」

 振り向くと、ジフンがいた。

「……あ、すみません」

「いや、わかるよ。ソル、今日は特にすごいね。はい、糖分補給」

 ジフンは小さな包みのスイーツを脇に置き、モニターを見た。

 ミリはジフンに礼を言う。その身体で、ソルの姿が視界から消えた。

 ソルがいない……。

 探すと、ソルはすでに別のポジションで、次の動きに入っていた。さっきまでの余韻を、まるで存在しなかったかのように切り離して。

 ミリはヘッドホンを掛け、フェーダーに指を戻す。怖い、とは違う。ただ、この美しさに名前をつけてしまったら、何かを壊してしまう気がした。

 今は、音だけを拾おう。

 それが自分にできる、正しい距離に思えた。
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