ソルが降る日
今日はドラマ本編の撮影と並行して、作品の名を冠した香水『JOURNEY』のCM撮りも行われていた。
小さなシャンデリアの光はミステリアスでいながら、やわらかな光を放ち、琥珀色の香水瓶に輝きを与えていた。周囲のざわめきが引いていくと、照明の光も現場の視線も、ある一人の俳優に向けられていた。
ミリは集音マイクを傍らに立てかけた。
彼の長い手足、均整の取れた後ろ姿。スタッフに呼ばれ振り向くと、髪が揺れ、高い鼻梁が覗く。画の中にすっと収まった。
アメリカから戻って間もないミリは、ユ・ソルという名前をスタッフ同士の会話で知った。韓国エンターテインメントを代表する、俳優であり歌手らしい。
セットの中でソルは香水瓶を持ち、カメラはその視線を追っていた。昨日も昼夜二回のステージがあったはずなのに表情は軽く、声にも疲れは残っていない。周囲の音は遠のいていくのに、ソルの存在だけが鮮明に立ち上がっていった。
「へえ、すごい」
思わず言葉が出た。発声の次元が違う。どんなトレーニングを受ければ、あそこまでになれるのだろう。
ソルが白くしなやかな腕を伸ばし、香水瓶を取ると、透き通った声が香りのように立ち上がり流れていった。ミリの指がレベルメーターの上で、止まった。
さっきの音、彼だ。
きれい。雪みたい……
カットがかかり、現場にざわめきが戻る。ミリはブースに戻り、ヘッドホンをつけた。
***
小さなシャンデリアの光はミステリアスでいながら、やわらかな光を放ち、琥珀色の香水瓶に輝きを与えていた。周囲のざわめきが引いていくと、照明の光も現場の視線も、ある一人の俳優に向けられていた。
ミリは集音マイクを傍らに立てかけた。
彼の長い手足、均整の取れた後ろ姿。スタッフに呼ばれ振り向くと、髪が揺れ、高い鼻梁が覗く。画の中にすっと収まった。
アメリカから戻って間もないミリは、ユ・ソルという名前をスタッフ同士の会話で知った。韓国エンターテインメントを代表する、俳優であり歌手らしい。
セットの中でソルは香水瓶を持ち、カメラはその視線を追っていた。昨日も昼夜二回のステージがあったはずなのに表情は軽く、声にも疲れは残っていない。周囲の音は遠のいていくのに、ソルの存在だけが鮮明に立ち上がっていった。
「へえ、すごい」
思わず言葉が出た。発声の次元が違う。どんなトレーニングを受ければ、あそこまでになれるのだろう。
ソルが白くしなやかな腕を伸ばし、香水瓶を取ると、透き通った声が香りのように立ち上がり流れていった。ミリの指がレベルメーターの上で、止まった。
さっきの音、彼だ。
きれい。雪みたい……
カットがかかり、現場にざわめきが戻る。ミリはブースに戻り、ヘッドホンをつけた。
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