ソルが降る日
スタジオを出ると、頬に当たる風が心地よかった。
夕刻の電車の中は、学生や仕事帰りの人であふれ、車窓の外で建物は次第にまばらになりながら、流れていった。
改札を出て、住宅街のいつもの坂を登っていく。周りの家々の窓に灯る明かりを横目に、玄関を開け電気を点けると、外の気配がすっと引いた。
リビングのテーブルの上には無造作にノートパソコンやコード類が置かれ、窓際の飾り棚には写真たてが並んでいた。ニューヨークの新しい家族、ピアノの発表会、友人たちとの卒業写真。そして、左半分が折られた海辺の写真。母と幼い自分は笑っていた。そしてその横に小さな折り鶴がたくさん入った小箱が一つ。
「ただいまー、お母さん」
キッチンでコップに水を注ぎ、立ったまま飲み干した。
「ふーっ。生き返ったぁ」
冷蔵庫を開け、昨日の晩のキンパの残りと、ナムルをお皿に乗せ、テーブルに運んだ。テーブルの上には叔母エイミーが送ってくれた、Zabar’sのグラノーラがそのまま置かれていた。ニューヨークの家で、よく食べていたもの。今はそこにあるだけで落ち着いた。
セットの小さなシャンデリアの光の下にいた、ソルの姿。その記憶が音とともに甦ってきた。
スマホを手に取り、「ユ……ソル」と検索をした途中でスマートフォンが震えた。エイミーからだ。
夕刻の電車の中は、学生や仕事帰りの人であふれ、車窓の外で建物は次第にまばらになりながら、流れていった。
改札を出て、住宅街のいつもの坂を登っていく。周りの家々の窓に灯る明かりを横目に、玄関を開け電気を点けると、外の気配がすっと引いた。
リビングのテーブルの上には無造作にノートパソコンやコード類が置かれ、窓際の飾り棚には写真たてが並んでいた。ニューヨークの新しい家族、ピアノの発表会、友人たちとの卒業写真。そして、左半分が折られた海辺の写真。母と幼い自分は笑っていた。そしてその横に小さな折り鶴がたくさん入った小箱が一つ。
「ただいまー、お母さん」
キッチンでコップに水を注ぎ、立ったまま飲み干した。
「ふーっ。生き返ったぁ」
冷蔵庫を開け、昨日の晩のキンパの残りと、ナムルをお皿に乗せ、テーブルに運んだ。テーブルの上には叔母エイミーが送ってくれた、Zabar’sのグラノーラがそのまま置かれていた。ニューヨークの家で、よく食べていたもの。今はそこにあるだけで落ち着いた。
セットの小さなシャンデリアの光の下にいた、ソルの姿。その記憶が音とともに甦ってきた。
スマホを手に取り、「ユ……ソル」と検索をした途中でスマートフォンが震えた。エイミーからだ。