ソルが降る日
「もしもし」

『仕事、おつかれさま。いい声してるわ』

「そう? ニューヨークは朝なのに、エイミーは家じゃないの?」

『友人の家に泊まってるの。でも、なぜわかったの?』

「だって、リビングにある掛け時計の針の音がしないもの」

『さすがね。ミリに隠し事はできないわ。今日は特に冴えてる。と言うことは何かいいことあったでしょ』

「普通よー」

『その普通、ちゃんと考えてから言った?』

 ミリは小さく笑った。

「……バレた?」

 椅子に座ったまま、仕事のこと、今日の現場での出来事……。言葉にしていくうちに、また、脳裏に昼間の出来事が現れ、記憶の音と姿が甦った。

「今日、音がきれいな人がいて」

『音、ね』

「声とか、呼吸とか……」

『それで、どうだった?』

「……それだけ」

『あら。でもそれで十分よ』

 ミリはエイミーと次回の約束をし、通話を切った。静寂が戻った部屋のカーテンの隙間からは街の光が差し込んでいる。目を閉じると外の音なのか、昼間のあのときの音なのか……

 優しい眠気がやってきた。
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