嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
「じゃあ、このまま私と一緒にいてもらってもいいですか?」
「……なぜ?」
「何度か声をかけてくださる方がいるんですが、私にはその気がないので……申し訳なくて」
星南はちらりと、先ほどの男性へ視線を向ける。
「あなたも不本意でここにいるなら、きっと私と同じですよね?」
「……」
「だから、お互い暇つぶしということで」
笑顔を浮かべ、持っていたグラスを持ち上げる。すると少しだけ間を置いて、彼のグラスがこつんと重なった。
「俺を利用しようってわけか。随分と、正直な性格だな」
「ありがとうございます」
嫌味にも笑顔で返すと、男が初めて、ほんの少しだけ笑ったのが見えた。
それからは、不思議なことに会話が途切れなかった。
例えば、休日の過ごし方や趣味の話。星南が好きだと言ったマイナーな映画を知っていたり、仕事にも共通する部分があったり。
気を遣う必要性から解放されたせいか、さっきまで感じていた疲労もいつの間にか薄れていた。
彼もまた、星南に対して妙な遠慮をしない。
星南が料理をしないと言えば「俺もしない」と答え、休日は家から出ないと言えば、家での過ごし方で話が膨らむ。
気づけば、あっという間に時間が過ぎていて、フリータイム終了を告げるアナウンスが流れ始めた。