嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
Epi.3
タクシーで連れていかれた先は、知る人ぞ知る会員制のバーだった。
(まさか、あり紗に連れてきてもらう前にくることになるとは……)
店内は照明を落とした落ち着いた空間で、上質なインテリアや調度品が並んでいる。あり紗がSNSでよく紹介しているような、高級感のある店だ。
だが、ここに連れてきた本人は到着するなりお手洗いで席を外したまま、未だ戻ってこない。
適当に頼んだジントニックも、もう半分以上飲み干している。
(一宮さん、遅いなあ……)
ぼんやりとしつつ待ちくたびれながらグラスを揺らしていると、ふと、隣の席が引かれる音がした。
「おかえりなさい、一宮さ……」
振り向いた瞬間、言葉が途切れた。
隣に腰を下ろしたのは、一宮とは似ても似つかない、とんでもない美丈夫だった。
「えっ、あの……すみません、その席には先約が……」
戸惑いまじりに声をかけると、男がゆっくりと顔を向けた。
形のいい三白眼に、高い鼻筋。整った口元や無造作にかき上げられた流れる黒髪も、どこをとっても完璧で、全身から色気が滲み出ている。
あまりの美しさに息を呑んだ、その瞬間。
「俺だ」
「はっ?」
一瞬、頭がショートした。
けれど顔立ちこそ違えど、着ている服も、声も、間違いなく星南の知っている男のものだった。