嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
「というわけで、顔も見せたし、身元も明かしたし。これでいいよな」
「えっと……何が?」
ようやく絞り出した言葉に、朔夜はさらりと答えを返した。
「俺ら、結婚前提に付き合うってことで」
「はっ?」
声が思わず裏返る。次の瞬間、星南は首がちぎれんばかりの勢いで横に振った。
「むっ……無理です!無理無理!あなたみたいな男性、私には手に余りすぎます!」
「婚活パーティーでマッチングしといて何言ってんだ」
「や、だって、それは……」
「それに手に余るってことは、男としてはアリってことだろ」
「いや、無し寄りの無しですけど」
ばさりと言い切ると、朔夜は意外そうに目を開く。それからすぐ、面白げに細めた。
その表情に、星南は咄嗟に嫌な予感を悟る。
「ほう……?なら、アリになるまで口説けばいいってことだな」
とんでもなく自信満々に言われ、その態度につい言葉を忘れかける。
「ち、違、別にそういう意味じゃ……」
「俺はそう解釈した。ってわけで、手始めにそっちの名刺も寄越せ」
「お願い話聞いて!?」
どうやらこの男、相当な切れ者で厄介者らしい。
結局、あっという間に口八丁手八丁で丸め込まれ、名刺どころかトークIDまで持っていかれてしまった。
せっかく連れてきてもらった高級バーだったというのに、その夜、星南は一杯の酒すらまともに味わえなかった。