嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
Epi.4
とんでもない夜を過ごしてから数週間。星南の日常は、すっかりいつものものに戻っていた。
「緒方主任!依頼されていた数字が出ました!」
「ありがとう。確認するから置いておいて」
星南の勤め先は、企業向けのWebサービスやプラットフォームを運営するIT企業。
星南はそこでマーケターとしてサービスの利用状況を分析したり、利用者を増やすためのキャンペーンを企画したりしている。
「チェック終わった。この数字をもとに次のキャンペーン案はまとめておくから、アポ取りだけお願い」
「承知しました」
大変だけど、やりがいのある仕事。ここ一年は仕事に一途に打ち込んできたこともあり、評価も給与もうなぎ登りで、今の生活には十分満足している。
そんな忙しくも充実した日々の中、星南を悩ませるものがひとつだけあった。
(また、連絡きてる……)
スマートフォンの画面に表示された名前を見つめたまま、星南は固まっていた。
あの日以来、朔夜からは連日のように食事の誘いが届いている。
一回目と二回目は、仕事が忙しいと言って断った。
実際、残業が続いて仕事が忙しいのも嘘ではない。けれど大手企業の専務である朔夜だって、決して暇な身ではないはずだ。
それなのに、こうも何度も誘われると、そろそろ断り続けるのも心苦しくなってくる。
(でもなあ……)
交際する気がないのに、デートをするのもどうなのだろう。
ましてや、相手は自分とは住む世界が違うような男だ。
あの顔ならどこへ行っても引く手あまただろうに。どうして自分のような女に、こうして何度も声をかけてくれるのだろう。