嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜

 相手はドラマで共演した無名の新人女優だった。

 華奢で、お人形のように可愛らしく、守ってあげたくなるような雰囲気の女性。

 星南とは、何もかもが正反対だった。

 顔はそこそこ整っている自覚はあるけれど、背が高く、おまけに筋肉質。残業を重ね、さらには美容費を削れるだけ削ってきたこともあり、髪は伸びっぱなしで肌も荒れ気味。

 彼女のような白く柔らそうな、艶やかな肌とは、とても縁遠い。

(悔しい。くやしい……っ)

 ようやく家にたどり着き、乱暴に玄関のドアを閉めてリビングへ駆け込んだ。

 そこには、当たり前のように一緒に過ごしてきた彼の名残が、いたるところに点在している。

「──っ……」

 それを見た瞬間、ついに我慢ができずに泣き崩れた。その場に倒れ込み、大声を上げて泣き喚く。

(どうして……?ずっと支えてきたのに。応援してきたのに……っ)

 彼が夢を追いかけている間、ずっと隣にいた。

 苦しいときも、うまくいかないときも、いつか夢が叶うと信じて支えてきた。

 それなのに彼は、十年の絆よりも、新しく出会った女を選んだ。

 運命なのだと、彼は言った。

 それが本当に運命だというのなら、彼だけを一途に想い続けてきた自分は、一体なんだったのだろう。

 この底知れない悲しみは、どうしていけばいいのだろう。

「うっ、ふえぇぇ……」

 その夜、星南は床に蹲り、時間も忘れて泣き続けた。

 今まで信じてきたものがすべて間違いだったと、容赦なく突き付けられた夜だった。

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