嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜


(私の十年は、なんだったんだろう)


 そんな心の問いかけに応えてくれる声は当然なく、無理やり気持ちを切り替えてやり過ごすしかなかった。

 泣きはらした翌日は久しぶりに有休をとって、部屋の中を掃除した。

 彼氏の荷物はすべてまとめて処分し、売れそうなものは片っ端から売った。

 お揃いのマグカップも、プレゼントも、思い出の品も。部屋に残っていた彼の痕跡はすべて消し去った。

 そうして手元に残ったお金を見て、ふと思う。

(これ……もともと全部、私のお金じゃん)

 今まで彼のために使っていたお金。そう思ったら、急に馬鹿らしくなった。

 その足で美容院へ向かい、何年も伸ばしっぱなしだった髪をばっさり切った。ついでに最高級のトリートメントまでお願いして、とことん自分を甘やかす。

 そのままデパートへ向かい、何年も買い替えていなかった化粧品を一式新調し、新しい服も買った。

 そうやって思いつく限りのストレス発散をしているうちに、星南はひとつの結論にたどり着いた。

 ──もう、こんな思いは二度としたくない。

 誰かのために自分の時間やお金を削るのも。

 いつか報われると信じて、ひたすら我慢するのも。何もかもが、もう嫌だった。

 もう男なんて信用しない。誰かを好きになったりもしない。

 どれだけ尽くして、どれだけ想いを注いだところで、裏切られてしまえば何も残らない。

 だけど、仕事は違う。頑張ればそれだけ成果につながるし、自分のために使ったお金は、自分の自信になる。

 結局、最後に信じられるのも、自分を大切にしてあげられるのも、自分自身なのだ。

 そう思ってからの星南は、仕事に打ち込んだ。

 恋愛に使っていた時間も、お金も、すべて自分のために使った。

 そうしているうちに、あっという間に一年以上が経っていた。

 失恋直後のような痛みは、もうない。

 ただ、彼に対する未練の代わりに、やりきれない感情だけが残っていた。

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