嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
しかし、約束の当日。
店に赴いた星南を迎え入れたのはあり紗ではなく、なぜか朔夜だった。
「よお。久しぶりだな」
「……」
(え、なんで……?)
呆然と立ち尽くす星南に、朔夜は何食わぬ顔で「まあ、座れよ」と向かいの席を促した。
間もなくやってきた仲居にコース料理の説明を聞かされる間も、星南の意識はずっと此処にあらずだった。
いったい何がどうなっているのか。混乱したまま黙っていると、やがて目の前に先付が置かれる。
そのまま仲居が一礼して下がったところで、ようやく思考が追いついた。
「あの、どうして一宮さんが……?」
「会えず続きでさすがに限界だったんで、お前の友達を利用させてもらった。恨むなよ」
「……」
それを聞いてスマートフォンを取り出すと、つい数分前にあり紗からメッセージが届いていた。
《星南ってば、先輩と良い仲なら言ってよ~!男の傷は男で、だよ。ファイト!》
さらにはお気楽なスタンプまで送られていて、もう肩を落とすしかなかった。
「……何度もお誘いいただいたのに、断ってごめんなさい。でも私、別に嘘をついてたとかじゃなくて……」
「別に怒っちゃいねえよ。脈なしの相手を振り向かせようってんだから、それなりの苦労は織り込み済みだ」
「……」
「ま、たまにはこっちから追っかけるって経験も悪くねえしな」