嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
そんなことを考えながら黙り込んでいると、ふと朔夜が口を開く。
「じゃ、そろそろそっちのことも話してもらおうか」
「……私のこと……?」
「今までのことでも、仕事のことでも。今日ここで話す予定だったことでも何でもいい」
そう言って、朔夜は箸を取る。
何気ない仕草ひとつまで綺麗で、彼の育ちの良さが伺える。
その事実に、改めて彼とは住む世界が違うのだと突き付けられた気がした。
「……さっき、私をいい女だと言ってくれましたけど」
星南は小さく息を吐いて、視線を落とす。
「買い被りすぎです。私は……十年以上尽くした男に捨てられるような、つまらない女です」
そう言うと、朔夜の三白眼がわずかに鋭さを増した気がした。
その視線に、胸の奥深くにしまい込んでいたものが少しずつ引きずり出されていく。
「そんな私の、どこがいい女なんですか?」
星南が問いかけると、朔夜はすぐには答えなかった。
ただ、じっと星南を見つめている。
その視線に耐えきれなくなり、星南が目を逸らそうとした、そのときだった。
「十年、尽くしたと言ったな」
「……え?」
「その男に捨てられたから、お前はつまらない女なのか?そんなクソみたいな男からの評価だけが、お前の価値基準なのか?」