嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜

(どういう意味……?)

 朔夜の言葉の意味が分からず、星南は目を瞬かせる。

「その男と離れて、お前には何が残った?今、俺の目の前にいるお前は、腐って自暴自棄になってるような情けない女なのか?違うだろ」

「……」

「しっかり稼いで自力で立って、俺がいい女だと思えるような今のお前を作ったのは、お前自身だろ」

「……っ」

「この俺に口説かれてんだぞ。お前は、誰がどう見たって魅力的な女だ」

 その口元に浮かぶのは、あの日と同じ自信満々の笑み。

「大人しく俺を選べよ。そんな奴より何百倍もいい男だし、俺なら女を裏切るようなダセェ真似はしねえ」

 朔夜の高い自己評価は揺るがない。そのあまりにも堂々とした物言いに、星南は思わず吹き出してしまった。

「一宮さん、自信過剰って言われません?」

「朔夜」

「え?」

「俺も星南と呼ぶ。だから、お前も名前で呼べ」

 あまりにも自然に言われて、星南は一瞬だけ言葉に詰まった。

「……朔夜」

 言われるままに呼んでみたものの、どうにもまだぎこちない。

「なんだか、慣れませんね」

「そのうち慣れる」

「強引ですね」

 そう言うと、朔夜が目を伏せて笑う。その笑顔を見つめながら、星南も小さく笑った。

 もう二度と恋なんてしない──そう決めていたはずなのに。

 もしかしたら、この人なら、なんて。そんな都合のいい幻想を、少しだけ抱いてしまった。

 心の中で固く閉ざしていたはずの決意が、ほんの少し揺らいだ瞬間だった。


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