嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
「朔夜、ここにはよく来るの?」
「まあな。家族で馴染みの店ってやつ」
「そうなんだ……」
呟くように言いながら、店内を見渡す。
(ここって、かなりの高級店だよね……)
そんな場所を家族で馴染みにしているうえ、しかも店長まで挨拶に来るという特別扱い。
自分には少し場違いなのではないかと気後れしていると、ドリンクメニューに目を落としたまま、朔夜が何気なく口を開いた。
「紹介するか?うちの親」
「はっ?」
あまりにも突飛な台詞に、星南は慌てて朔夜に視線を戻す。
「なな、なに言ってるの……!?」
「正直俺はいつでもいいぞ。うちの親は俺の結婚にとやかく言うタイプじゃねえから、そんなに気負う必要もないし」
「……っ」
──結婚。
その言葉が朔夜の口から飛び出してきたことに、星南は言葉を失う。
「あー…でも、一人やかましいのがいたな」
しかし、朔夜が何かを思い出したように顔を上げた。
「え……それって……」
「うちの姉」
初めて聞く情報に、星南は小首をかしげる。
「朔夜、お姉さんいたの……?」
「一応な。普段はほぼ交流ねえけど、俺が親に女を紹介したなんて知ったらここぞとばかりに出張ってくるだろうな」
「どういう意味?」
「デザイナーなんだよ。ウェディングドレス専門の。ぜってえフルオーダーでデザインさせろとか煩く言ってくるに決まってる」
「……」