嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜

「はあ……」

 素直になれない自分が嫌で、重い気持ちのままドリンクメニューを開いた。


「……星南?」


 ──ドクン。

 その瞬間、聞き覚えのある声に、心臓が大きく揺れた。視界が狭窄して、体じゅうから温度が冷えていく。

 ──違う。まさかそんなこと、あるはずない。

 そう思いながら、ゆっくりと振り返る。

 けれどそこにいたのは、今なお忘れることのできない、かつて自分の心を壊した男だった。

「うわ、マジで星南じゃん。お前、こんなところで何してんの?」

「源(げん)……」

 元彼の源は、以前とは比べものにならないほど洗練された姿になっていた。帽子と眼鏡で顔を隠しているものの、その姿を見間違えるはずがない。

 そしてその隣には、彼の腕に寄りかかるように体を寄せた、小柄で華奢な若い女性が立っていた。

「おいおい……まさか、俺を追いかけてたとか言わねえよな?」

 小馬鹿にしたように笑う源に、星南の口元がぴくりと引き攣る。

「……は?」

「いや、だってさ。お前がこんな店にいるなんて明らかにおかしいじゃん。ここ、芸能人も御用達の店だぜ?紹介がないと入れねえの、分かる?」

「……」

 何も言わず睨みつけていると、隣の女がこちらを見下しながらくすりと笑った。

「たぶん、パパ活でもして連れてきてもらったんじゃない?」

「なるほどな。星南お前、いい歳して何してんだよ」

 次々と投げつけられる言葉に、星南の中で苛立ちが募っていく。

「……そんなわけないでしょ」

「はっ、どうだかねえ」

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