嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
「おい、何してんだよ!」
しかしそんな女の様子に、源が苛立ったように声を荒らげる。
「お前、いくら売り出し中だからって見境もなしに媚び売ってんじゃねえよ!」
そう言って源が腕を掴んで無理やり引き戻すが、女は負けじと源を睨み返した。
「あんたこそ何言ってんのよ!この人を誰だと思ってるの?galleryの専務よ?顔売るに決まってるじゃない!」
「なっ……」
女の怒声を聞くや否や、源の顔から急に血の気が引いた。真っ青な顔のまま恐る恐る朔夜へ向き直り、声を震わせる。
「gallery……?galleryの一宮って、あの……?」
(……源……?)
それまでの勢いを完全に失い、表情を強張らせ──いや、むしろ怯えきった表情で朔夜を見上げる源の姿に、星南は眉をひそめた。
朔夜はそんな源を冷ややかに見下ろしていたが、ふいに何かを思い出したように「ああ……」と呟くと、ジャケットの胸元へ手を伸ばした。
「どこかで見た顔だと思ったら……お前、うちの次のCM起用する予定の俳優か」
「……!」
その瞬間、源の喉がひゅっと小さく鳴った。
「聞き耳を立てていたわけじゃないが、先ほど彼女が言っていたことは本当なのか?」
「い、いえ、その……」
「だとしたら、信用問題に関わるようなタレントを使うわけにはいかないな。企業の顔を任せる以上、問題のある人間では困る」
「ち、違うんです!さっきの話は、その……!」