嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜

 けれど意外なことに、朔夜は星南を目にするなり、みるみるうちに憤りを鎮めていった。

「……チッ」

 短く舌打ちすると、朔夜は不本意さを隠すことなく源から乱暴に手を放した。

 そして、胸元を押さえて荒い息をつく源に「おい」と声をかけ、その前に立ちはだかる。

「二度と星南に近づくな。次にその顔を俺達の前に見せようもんなら……役者生命だけじゃ済まさねえからな」

 冗談の気配など微塵もない台詞に、源は青ざめた顔で言葉を失った。

 そこへ、騒ぎを聞きつけた店長が慌てた様子で駆け寄ってくる。

「一宮様、何かございましたか?」

「悪い。騒がせたな」

 朔夜はそれだけ告げると、再び星南の肩へ腕を伸ばす。

「今日はもう帰る。支払いは俺宛で請求しておいてくれ」

「か、かしこまりました……」

 未だ状況を掴めていない様子の店長にそう言い残し、朔夜は星南を連れて店を出る。

「一宮専務!大変申し訳ありません!どうか話を……っ」

 背後から源の焦った声が追いかけてくる。当然朔夜は振り返らず、その声に重なるように、女が彼を責め立てる声も聞こえた。

(……まさか、こんなことになるなんて……)

 二人の言い争う声を背中で聞きながら、星南は朔夜に手を引かれるまま、店の外へと連れ出されていった。


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