嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
朔夜の住むマンションは都心の一等地にある、中層の高級レジデンスだった。
地下駐車場からロビーに入るとコンシェルジュが常駐していて、エレベーターホールへ向かうにもセキュリティゲートを通る必要がある。
セキュリティの手前で朔夜がカードキーをかざすと、短い電子音とともにゲートが開いた。
そのまま乗り込んだエレベーターが到着したのは、建物の上層階。内廊下には数戸しか扉がなく、それだけでも一戸あたりの広さが想像できてしまう。
さらに住戸の玄関にも専用のカードキーが必要で、扉を開けて中へ入ると、背後でオートロックが自動的に施錠された。
ガチャリと音が響いた、その瞬間。
朔夜が我慢の限界とでも言うように星南の腕を取った。そのまま壁際へ追い込まれ、逃げられない距離で身体を寄せられる。
「……十分に時間はやった。覚悟はできてるな?」
低く落とされた声を聞いた途端、星南の身体がぞくりと震えた。
けれどそれは、源に腕を掴まれたときに感じた不快なものではない。例えるなら甘い毒を食んだような、身体の内側まで痺れていくような感覚。
目の前では、信じられないほど綺麗な顔が熱を浮かべて見つめてくる。
骨まで食らいつくされそうな獰猛さを宿した瞳に見据えられても、不思議と怖いとは思わなかった。
むしろ──もっと欲しがってほしいとさえ思ってしまう。
「……覚悟するのは、朔夜もだよ」
そう零した星南の言葉に、朔夜が怪訝そうに眉を寄せた。