嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
「せっかくお義姉さんがフルオーダーでドレスを作ってくれることにもなったんだよ?朔夜だって、すごく満足そうにしてたじゃない!」
「似合うのが分かってるからダメなんだろ。お前の友達が女ばっかでも、こっち側や親族に男がいんのに認められるか」
朔夜はそう吐き捨てると、腕を組んでそっぽを向いてしまった。
主張も態度も何もかもがくだらなすぎて、もう呆れるしかない。
とはいえ、このままでは埒が明かない。
(くそう……こうなったら……)
彼の母である義母から教わった秘策を使うほかない。その為には多少の恥じらいは捨てる必要があるが、背に腹は代えられない。
意を決した星南は、そっと朔夜の身体に腕を回した。
「……星南?」
不意を突かれたように、朔夜がこちらを見下ろす。
その胸元に頬を寄せながら、星南は少しだけ顔を上げた。
「ねえ朔夜。お願い、だめ?」
上目遣いで、甘えるようにそう告げる。
それを目にした途端、朔夜の喉がぐっと鳴った。
「……っ、お前、それは……」
朔夜は媚びる女が嫌いだ。だけど星南が甘えることだけは、その媚びには含まれないらしい。
不機嫌そうに寄せられていた眉が、わずかに動揺で揺れ動く。
「だって、好きな人との結婚だよ。私、みんなに祝ってほしいよ」
追い打ちをかけるようにそう言うと、朔夜はついに黙り込んでしまった。
そしてしばらく何かと葛藤するように頭を抱えたあと、観念したように大きく息を吐く。
「……分かった」
「ほんと?」
「ただし条件がある。披露宴は露出の一切ねえシンプルなドレス一択。姉貴にはもう一着作らせる。それ以上は妥協しねえ」
「……」