嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
『その点、星南なら年収も一応クリアしてるし、馬鹿と別れてますます綺麗になってるでしょ?だからお願い。友達のよしみで参加してくれないかなあ?』
「褒めてるのか貶してるのか、よく分からないんだけど」
『もちろん褒めてる!』
あり紗のからりとした調子のいい声に、星南は呆れを越して笑ってしまう。
『特別に参加費は無料でいいから!もちろん、今度ちゃんと誕生日祝いも兼ねてお礼もするわ』
「……ふーん……」
その言葉に、星南の心がほんの少し動いた。
婚活には興味がない。
けれど、あり紗からの「お礼」には少し興味がある。
(この際だから、すごい高いお店をねだってやろ)
あり紗のSNSには、よく経営者同士の交流会で使う高級店が載せられている。
内心でそんなあくどい計画を立てながら、星南はバスタブの縁に頬杖をついた。
「……いいよ。じゃあ、今回だけね」
『やった!ほんとありがとう~!星南様女神様!』
「大袈裟」
くすくすと笑いながら、後ほどメッセージで詳細を送ると聞いてあり紗との電話を切った。
スマホを元の位置に戻し、星南はもう一度ゆっくりと湯に浸かる。そして手のひらですくった泡に、ふう、と息を吹きかけた。
恋愛をするつもりなんて、これっぽっちもない。
だけど謝礼の確約付きのちょっとした暇つぶしとしてなら、パーティーを楽しんでみてもいいのかな、と思えるのだった。
──それがまさか、自分の運命を大きく揺るがす出会いに繋がるなどとは、このときは知る由もなかった。