今だけの婚約者~身代わりのはずが、冷たい旦那様にお腹の子どもごと愛されていました~
蓮さんに朝食の用意をするようになってから、十日ほどが経った。
「おはよう」
「あっ、おはようございます」
毎朝、顔を合わせているため、蓮さんと少しずつ打ち解けている。
彼は表情が豊かな人ではないものの、初対面で感じた氷のような冷たい雰囲気はほとんど感じなくなった。
最近の私は、蓮さんより早起きをして朝食の用意をしている。彼からは『無理をしなくていい』と言われているが、夜に取り組んでいた復習を早朝に振り替えただけ。
彼の帰宅を待てない夜があることは残念だけれども、私にかかる負担はそれほど変わらない。
「部屋中に、美味しそうな匂いが充満している」
蓮さんがくすりと笑う。
「ご迷惑でしたか?」
「そんなことはない」
「よかった。今日はほうれん草とウィンナーを入れた、キッシュを焼いたんです」
朝から張り切りすぎだったかと思わなくもない。でも、オーブンに入れてしまえば放っておけるし、見た目ほど手はかからない。
「どうぞ」
少し前に焼き上がったばかりのキッシュを皿に取り、コーヒーとともに蓮さんの前に並べる。
出されたものをじっくり見つめた蓮さんは、キッシュをひと口食べて感心したようにうなずいた。
「料理上手なんだな」
「いいえ。作るのが好きなだけで、特別上手とかでは……」
褒め言葉が気恥ずかしくて、頬が熱くなる。
「レシピ本のおかげです。いろいろな料理に挑戦していきますね」
「ああ、楽しみにしている」
そう言いながら向けられた蓮さんの表情に、鼓動が小さく跳ねる。
よく見ていないとわからないかもしれないが、口もとがわずかに綻んでいる。彼が喜んでくれているのだとわかり、胸が温かくなった。
「おはよう」
「あっ、おはようございます」
毎朝、顔を合わせているため、蓮さんと少しずつ打ち解けている。
彼は表情が豊かな人ではないものの、初対面で感じた氷のような冷たい雰囲気はほとんど感じなくなった。
最近の私は、蓮さんより早起きをして朝食の用意をしている。彼からは『無理をしなくていい』と言われているが、夜に取り組んでいた復習を早朝に振り替えただけ。
彼の帰宅を待てない夜があることは残念だけれども、私にかかる負担はそれほど変わらない。
「部屋中に、美味しそうな匂いが充満している」
蓮さんがくすりと笑う。
「ご迷惑でしたか?」
「そんなことはない」
「よかった。今日はほうれん草とウィンナーを入れた、キッシュを焼いたんです」
朝から張り切りすぎだったかと思わなくもない。でも、オーブンに入れてしまえば放っておけるし、見た目ほど手はかからない。
「どうぞ」
少し前に焼き上がったばかりのキッシュを皿に取り、コーヒーとともに蓮さんの前に並べる。
出されたものをじっくり見つめた蓮さんは、キッシュをひと口食べて感心したようにうなずいた。
「料理上手なんだな」
「いいえ。作るのが好きなだけで、特別上手とかでは……」
褒め言葉が気恥ずかしくて、頬が熱くなる。
「レシピ本のおかげです。いろいろな料理に挑戦していきますね」
「ああ、楽しみにしている」
そう言いながら向けられた蓮さんの表情に、鼓動が小さく跳ねる。
よく見ていないとわからないかもしれないが、口もとがわずかに綻んでいる。彼が喜んでくれているのだとわかり、胸が温かくなった。