今だけの婚約者~身代わりのはずが、冷たい旦那様にお腹の子どもごと愛されていました~
「蓮さんがそう思ってくれているのなら、よかったです」

「ああ。それで、これは受け取ってくれないのか?」

 ほんの少しおどけたような口調になる蓮さんが意外で、つい気が緩む。

「ありがとうございます」

「よかった。今夜はこれを着てほしい」

「はい」

「それから――」

 これで話は終わりかと思いきや、彼はさらに小ぶりの箱を取り出した。

「これも君に。その服に合うと思う」

 見せられたのは、パールのネックレスとピアスだ。箱には、私でも知っている高級ブランドのロゴが刻印されている。

「さすがに、そこまでは……」

「婚約者を、俺の手で着飾らせたいんだ」

 蓮さんが、すっと目を細める。途端に色気が溢れ出し、息をするのもままならないくらい苦しくなる。

 こんな彼を前にして、きっぱり断れる女性がいるだろうか。

「あ、ありがとう、ございます」

 結局、すべてを受け取ることになってしまった。
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