今だけの婚約者~身代わりのはずが、冷たい旦那様にお腹の子どもごと愛されていました~
「その優しい内面に、どうしようもなく惹かれた。君のことが、好きなんだ」
ひゅっと息をのむ。
私と舞は、メイクをしなければ外見はまったく同じ。だから入れ替わっても気づかれないだろうと、彼女や両親は言う。
でも蓮さんは、そっくりな見た目ではなくて私の中身を見てくれた。
その事実に胸が震え、言いようのない感情が込み上げてくる。
口を開けば涙が溢れてしまいそうで、ひたすら彼を見つめ返すことしかできない。
「俺のもとに来てくれたのが、君でよかった」
でも、どれだけ情熱的に乞われても、私は身代わりでしかないから応えられない。自分の心に素直になることも許されない。
「ひどい態度を取った俺を、許せないか?」
そんなわけはないと、首を横に振る。
なにも言えない私に、彼が気を悪くした様子はない。それどころか、自分の言動を責めているようだ。
「俺のことが、気に入らない?」
ありえないと、さらに大きく振って否定する。
こんなの、誘導尋問みたいだ。彼の言葉を否定していくたびに、私はどうしようもなく蓮さんに惹かれているのだと暴かれていく。
聡い蓮さんのこと。私の気持ちなんて、もう気づいているかもしれない。
「俺との結婚には、納得できないでいる?」
彼の目には、受け入れてもらえない悲しさなんてちっとも浮かんでいない。あるのは、ただひたすら情熱的な想いだけ。
なにも言えないまま、彼の問いかけを否定し続ける。
蓮さんと本当に結婚するのが私だったらいいのに。舞のことが妬ましくてたまらない。
「わ、私は、蓮さんにふさわしくなくて……」
耐えきれずに口にした反論は、声が震えて強がりにも聞こえない。
それ以上言えることがなにもないから、うつむいて瞼を閉じた。
正面からカタリと椅子を引く音が聞こえ、ビクッと肩が跳ねる。
呆れられてしまっただろうか。彼は気分を害して帰ってしまうのかもしれない。
不安に指先が震える。
置いていかないでと、心の中で必死に願っていたそのとき。背後からふわりと抱きしめられて、戸惑いに瞼を開いた。
ひゅっと息をのむ。
私と舞は、メイクをしなければ外見はまったく同じ。だから入れ替わっても気づかれないだろうと、彼女や両親は言う。
でも蓮さんは、そっくりな見た目ではなくて私の中身を見てくれた。
その事実に胸が震え、言いようのない感情が込み上げてくる。
口を開けば涙が溢れてしまいそうで、ひたすら彼を見つめ返すことしかできない。
「俺のもとに来てくれたのが、君でよかった」
でも、どれだけ情熱的に乞われても、私は身代わりでしかないから応えられない。自分の心に素直になることも許されない。
「ひどい態度を取った俺を、許せないか?」
そんなわけはないと、首を横に振る。
なにも言えない私に、彼が気を悪くした様子はない。それどころか、自分の言動を責めているようだ。
「俺のことが、気に入らない?」
ありえないと、さらに大きく振って否定する。
こんなの、誘導尋問みたいだ。彼の言葉を否定していくたびに、私はどうしようもなく蓮さんに惹かれているのだと暴かれていく。
聡い蓮さんのこと。私の気持ちなんて、もう気づいているかもしれない。
「俺との結婚には、納得できないでいる?」
彼の目には、受け入れてもらえない悲しさなんてちっとも浮かんでいない。あるのは、ただひたすら情熱的な想いだけ。
なにも言えないまま、彼の問いかけを否定し続ける。
蓮さんと本当に結婚するのが私だったらいいのに。舞のことが妬ましくてたまらない。
「わ、私は、蓮さんにふさわしくなくて……」
耐えきれずに口にした反論は、声が震えて強がりにも聞こえない。
それ以上言えることがなにもないから、うつむいて瞼を閉じた。
正面からカタリと椅子を引く音が聞こえ、ビクッと肩が跳ねる。
呆れられてしまっただろうか。彼は気分を害して帰ってしまうのかもしれない。
不安に指先が震える。
置いていかないでと、心の中で必死に願っていたそのとき。背後からふわりと抱きしめられて、戸惑いに瞼を開いた。