今だけの婚約者~身代わりのはずが、冷たい旦那様にお腹の子どもごと愛されていました~
 愛しさと寂しさと、相反する感情が膨れ上がり、じわりと目頭が熱くなる。

 私の目じりに口づけた彼は、それから胸もとを愛撫し、脚のつけ根の方へ手を這わせていく。
 
 体の内側に、彼の指がゆっくりと入ってくる。
 初めてのことに驚いて、身を強張らせる。
 それに気づいた蓮さんは、口づけと愛撫で私の緊張をほぐしてくれた。

「ん……」

 違和感しかなかった下腹部に、甘い刺激がまじり始める。
 私の変化に彼も気づいているのだろう。反応した場所を繰り返し攻められて、たまらず腰を浮かせた。

 迫りくる限界の予感に、シーツをきつく握りしめる。
 もともと閉じていた瞼にもさらに力がこもり、なにかから逃れるように首を振り乱した。

「ああぁ……」

 背中を大きく反らせた私を、蓮さんをすかさず抱きしめる。

 しばらくそのままでいてくれたが、ようやく呼吸が落ち着いてきた頃に体を離される。

「大丈夫か?」

 ゆっくりと目を開け、こくこくと首を縦に振る。
 私に軽く口づけて、蓮さんが起きあがった。

 衣擦れの音を聞きながら、ぼんやりと天井を眺める。
 思考はまだ定まらず、なんだか現実味のない時間を過ごしているよう。嫌なことも不安も、すべて忘れていられた。

 しばらくして戻って来た彼が、私の顔を覗きながら優しく頬をなでた。

「いい?」

 いよいよかと、再び体を強張らせながら小さくうなずく。

 脚に手をかけ、蓮さんがゆっくりと私の中に入ってくる。さっきとは比べ物にならない衝撃に、つい逃げ腰になっていた。

「力を抜いて」

 そう言われても、できそうになり。
 涙目で彼を見上げると、弱った顔をした蓮さんは深く口づけた。

 少しずつならしながら、ゆっくりと進めていく

「はあ」

 どれほど時間が経っただろうか。気だるげな吐息を漏らしながら、体を倒した蓮さんがぎゅっと抱きしめてきた。
 情熱的な口づけにすっかり気を取られている間に、体の一番深い部分につながり合っていた。

 彼が私に愛していると言ってくれたことも、こうして肌を重ねていることも、夢なんかじゃない。じわじわと実感していき、無意識に涙がこぼれ落ちる。
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