今だけの婚約者~身代わりのはずが、冷たい旦那様にお腹の子どもごと愛されていました~
週末になり、身支度を済ませてマンションを出る。
外に出た途端に、暑い日差しが容赦なく降り注ぐ。ぐらっと体が傾きかけたがなんとか踏みとどまり、駅に向けて歩きだした。
「唯、こっち」
やって来たのは、ケーキが評判のカフェ。
すでに到着していた幼馴染の森川藍が、私に気づいて手を振っている。
「お待たせ、藍」
「久しぶりだね。元気にしてた?」
「うん、まあ」
彼女とは、小学生の頃からの付き合いになる。舞が私にいろいろと擦りつけていることに気づき、大々的に味方をしてくれた唯一の子だ。
当時は家にも何度も遊びに行っていたし、ご家族が営む食堂には大人になってからお邪魔させてもらっている。付き合いが長く、森川家の皆は私を家族の一員のように扱ってくれる。
「なに、唯。歯切れが悪くない?」
「ちょっとね」
「あっ、もしかして、仕事でなにか失敗しちゃった?」
茶化すように言ったのは、空気を重くしないための彼女の気遣いだ。
けれどそれも、私がギクリと身を強張らせたことで無駄に終わる。
「う、ううん。そうじゃなくて……」
「唯?」
私の様子がおかしいことに気づいた藍が、すっと心配そうな顔になる。
私を取り巻く問題は、ひとりで抱えるにはあまりに大きい。さすがにもう耐えられそうにない。
だから藍から久しぶりに会おうと連絡をもらった時点で、彼女にだけすべてを明かそうと決めていた。
外に出た途端に、暑い日差しが容赦なく降り注ぐ。ぐらっと体が傾きかけたがなんとか踏みとどまり、駅に向けて歩きだした。
「唯、こっち」
やって来たのは、ケーキが評判のカフェ。
すでに到着していた幼馴染の森川藍が、私に気づいて手を振っている。
「お待たせ、藍」
「久しぶりだね。元気にしてた?」
「うん、まあ」
彼女とは、小学生の頃からの付き合いになる。舞が私にいろいろと擦りつけていることに気づき、大々的に味方をしてくれた唯一の子だ。
当時は家にも何度も遊びに行っていたし、ご家族が営む食堂には大人になってからお邪魔させてもらっている。付き合いが長く、森川家の皆は私を家族の一員のように扱ってくれる。
「なに、唯。歯切れが悪くない?」
「ちょっとね」
「あっ、もしかして、仕事でなにか失敗しちゃった?」
茶化すように言ったのは、空気を重くしないための彼女の気遣いだ。
けれどそれも、私がギクリと身を強張らせたことで無駄に終わる。
「う、ううん。そうじゃなくて……」
「唯?」
私の様子がおかしいことに気づいた藍が、すっと心配そうな顔になる。
私を取り巻く問題は、ひとりで抱えるにはあまりに大きい。さすがにもう耐えられそうにない。
だから藍から久しぶりに会おうと連絡をもらった時点で、彼女にだけすべてを明かそうと決めていた。